端唄について

日本音楽と言えば、筝、尺八などの楽器を用いる音楽や、歌舞伎などで演奏される、「常磐津」「長唄」「清元」など思い浮かべることでしょう。「端唄」は、これらの日本音楽の良いところだけを抜粋し、洗練を重ね、また遊び心を俳句のようにすべて凝縮し、粋さを感じる贅沢すぎるほど贅沢な日本の音楽です。

「端唄」を大きく分けると、上方端唄、江戸端唄に分類され、江戸端唄は吉原由縁のものが多く、もともと庶民の中での「はやり唄」が江戸の廓、「吉原」で芸術的に洗練され、中でも女心を歌ったものが最も多く、他に滑稽で愉快なものや、抒情的、叙景的なものが親しまれていました。

西洋音楽と日本音楽の歌唱法での違いは、音から音へスムーズに移行することが良いとされる西洋音楽に対し、どのように「移るか」自由自在に工夫され、「ウミジ」に対し「コブシ」「ユリ」「ツキ」など技巧を用い、更に感情豊かに生かされた唄に仕上げられています。

西洋音楽の影響を受けていない、江戸中期から末期にかけて生れた「端唄」は、私たち日本人にとって大切な民俗的な音楽のひとつとして、後世につたえていかなければいけない文化的財産です。

また、端唄を勉強するに当り、江戸時代の町(上方、京都、江戸)の地理や、当時の生活習慣や方言、文化、経済、政治など時代背景の認識が必要で、この音楽を一層興味深いものとします。